非日常とか書きながら日常的な事しか起こりません
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「星の降る夜に」 第一話
2013-06-10 Mon 20:50
~第一話~
【怒りの炎】

現在時刻 【20XX/04/03(月) 08:00】 桜衣の家


「桜衣ー ご飯出来てるわよー」
「はーい 今行くー……」
母親に呼ばれた桜衣は、眠そうな目を擦りながら2階から降りてきた。

1階のリビングには、桜衣の母親が作った朝食の良い匂いが立ち込めていた。
「おはよー……」
「今日から学校でしょ? 早くご飯食べて学校行く準備しなさい」
「分かってるよー……」
桜衣はテレビを見ながら朝食を食べ始めた。

テレビには普段と変わらない天気予報や、あまり興味の湧かないニュースしかやっていない。
昨日の事を思い出していた桜衣は少し妙に感じた。
「どうしたの?」
母親が食事の手が止まっている桜衣に心配そうに聞いてきた。

「……ううん、なんでもないよ」
桜衣は昨日の事を母親には話さなかった。
話しても信じてくれないかもしれないし、
例え信じてくれたとしても、余計な心配はさせたくなかったからである。
「そう……ならいいけど」
桜衣の母親は深く追求はしなかった。

「じゃあ行ってきますー!」
朝食を食べ終わった桜衣は、急いで学校に行く準備をし家を飛び出す。

桜衣が登校していると、後ろから来夏が走ってきた。
「桜衣ー!」
「あ、来夏ちゃん! おはよう!」
「おう、おはよう!」
二人は軽い挨拶を交わし学校へ向かった。

「しかし、昨日は驚いたなー」
来夏は歩きながら話し始める。
「結局、あの光は何だったんだろうなー……」
「うーん、学校についたらクラスのみんなに聞いてみよっか?」
「そうだな」

しばらく歩いていると桜衣達は大通りに出た。
そこで信号待ちしていると、桜衣は大通りの一角で人だかりを発見する。

「ん? 何かあったのかな?」
よく見ると一台の黒い車が止まっていて、近くでその車の運転手らしき人が何か叫んでいる。
その近くに、女の人が血だらけで倒れていた。

「……こんな朝早くから交通事故か? 物騒だな」
「うーん……」
桜衣は何か納得のいかないような顔をする。
ただの交通事故なら、それほど珍しくない。
しかし、運転手が必死に何かを言っているのが少し気になっていた。
運転手の顔は、信じられない事が起こった時のような顔をしていた。
そう、昨日桜衣達が空の光を見たときと同じような顔を……

「桜衣! 信号が赤になるぞ! 早く渡って来い!」
「……え?」
来夏の叫びで我に返った桜衣は、急いで横断歩道を渡った。

「全く、何してんだよ」
「ごめん……ちょっと考え事してて……」
「相変わらず考え事すると周りが見えなくなるよな」
来夏は少し呆れていた。

学校についたのは授業が始まる10分前だった。
桜衣達はクラスのみんなに昨日の事を聞いてみたが、
みな、桜衣達と同じで何が起こったのかは分かっていなかった。
大して成果を得られなかった桜衣達は、仕方ないので大人しく授業を受けることにした。

「それじゃあ出席を取ります」
担任の先生が出席を取り始めた時、桜衣はある異変に気づいた。
いつも何故か一緒のクラスになる幼馴染の姿が見えなかったのだ。
「あれ……? 先生! 結祐君はお休みですか?」
「え? ああ、さっき体調が優れないから欠席するって連絡があったのよ」
「そうなんですか……」
桜衣は結祐の事を心配していた。
結祐は無断欠席することはあるが、体調を崩して休むことは殆ど無いからだ。
昨日の妙な事もあり、少し嫌な予感がした。

そして給食を食べ終わって昼休みが始まった頃……

「桜衣ー! 外で遊ぼうぜー!」
来夏が元気な声で桜衣に話しかける。
「うん! 今行くー!」
二人は学校の校庭に向かっていった。

校庭に着いた桜衣達の耳に大きな叫び声が届いた。
「なんだ!?」
桜衣達は急いで叫び声が聞こえた場所に向かった。

校庭の真ん中で、生徒の人だかりが出来ていた。
その中の数人は体に引き裂かれたような傷がある。
その騒ぎの中心には……爪が異様に伸びた男子生徒がいた。

「ハッ! 俺様に歯向かうからそんな目に遭うんだよ!」
男子生徒は大きな声で傷ついた生徒に向かって言った。
「俺様に逆らう奴は全員この爪で引き裂いてやる!」
男子生徒はまた近くの生徒に襲い掛かった。

「なんだよあいつ……!?」
来夏はあまりの出来事に立ち尽くすことしか出来なかった。
男子生徒は爪が異様に伸びているだけでなく、
その爪を縮めたり伸ばしたりしていたからだ。
「大丈夫ですか!?」
桜衣は傷ついた生徒に駆け寄った。

「……あ? なんだテメェ?」
男子生徒と目が合った桜衣は男子生徒を睨み付けた。
「……なんだよその目は! テメェも俺様に歯向かうのか!」
そう言った瞬間、男子生徒は桜衣にも襲い掛かってきた。

「危ねぇ!!」
間一髪、横から来夏が桜衣を引っ張ったお陰で爪は地面に突き刺さった。
「チッ! 逃がすか!」
桜衣と来夏は急いでその場を離れた。
その後ろを男子生徒が追ってくる。

幸い男子生徒はそこまで走るのは速くなかったので、
桜衣の走るスピードでも追いつかれる事はなかったが、がむしゃらに逃げていたので、
自分達が行き止まりの校舎裏に向かっていることに気づけなかった。
その結果、校舎裏で桜衣達は追い詰められてしまった。

「チッ! 行き止まりかよ!?」
「へへ……もう逃がさねぇぞ!」
男子生徒は勝ち誇った表情をしていた。
ジリジリと近づいてくる男子生徒は爪を地面に触れるぐらいまで伸ばしている。

「そこのピンク髪の奴……さっき俺様が引き裂いた奴に駆け寄ってたな……」
男子生徒は爪が届きそうな距離まで桜衣達を追い詰め言い出した。
「へッ……赤の他人を救ってヒーローにでもなるつもりだったのか?」
「そ、そんなこと……」
「うっせぇ!」
桜衣が言い終わる前に男子生徒が桜衣の言葉を遮る。
「俺様はよぉ……そういう偽善者面した奴が大っ嫌いなんだよ!」
男子生徒がそう言った直後、来夏の肩が小さく震え始めた。

「今……なんつった?」
来夏は小さく、そう聞いた。
「あん? だからそのピンク髪の奴みたいな偽善者は嫌いだって……」
男子生徒が言い終わる前に、来夏は立ち上がった。
拳を堅く握り締めていて、その瞳は怒りに燃えていた。

「今、桜衣の事を偽善者とか抜かしやがったな……?」
「ら、来夏ちゃん?」
桜衣は来夏がここまで怒っているのを見たことが無かった。
そして近くにいた桜衣には見えたが、
来夏の握り締めている拳から真っ赤な火が出ているように見えた。

そんな来夏に気づかないのか、男子生徒は軽く目を瞑り更に挑発するような言葉を続ける。
「ハッ! 偽善者を偽善者って言って何が悪い!」
「大体、俺様にガンつけた時点で……ん?」
男子生徒はそこまで喋ったところで目を開けると、
来夏の拳が火を纏った状態で目の前に迫ってきていた。

「桜衣を馬鹿にする奴は絶対許さねぇ!」
男子生徒は何が起きているのか理解する間もなく、後方に殴り飛ばされる。
火傷しそうな熱さの拳を顔面に食らった男子生徒は一撃で意識を失った。

「来夏ちゃん……今のは……」
来夏の手の火は消えていたが、桜衣は燃えていた手を見て驚愕していた。
火傷の跡どころか、肌の色すら変わっていなかったのだ。
「正直、俺にも分かんねぇんだよな……ぜんぜん熱くもないし……」
「凄く熱そうに見えたけど……って来夏ちゃん!服!服!」
「へ?」

桜衣に言われて、来夏は初めて気づいた。
自分が今、どんな格好なのか……
来夏の服はさっきの火によって、いつの間にか燃え尽きていた。
「おわ!?」
「と、とりあえずこのコートを着て!」
桜衣は自分の羽織っていたコートをすぐさま来夏に貸してあげた。

「すまねぇな桜衣……」
「いいよいいよ! あ、でもそのコートは燃やさないでね!」
「わ、分かってるよ」

「あ、あと来夏ちゃん……さっきはありがとね」
「ん?」
「私の為に怒ってくれて……嬉しかったの」
「い、いいよそんなこと……俺はただ、桜衣が馬鹿にされるのが許せなくて……」
「えへへ、とにかく守ってくれてありがと!」
桜衣は満面の笑みで来夏の手を握った。

しばらくして、担任の先生が駆け寄ってきた。
「白星さん! 灯空さん!」
「あ、先生!」
「大丈夫!? どこも怪我してない!?」
「私は大丈夫だけど……来夏ちゃんが……」
先生はコートを羽織った来夏を見て、不思議そうな顔をした。
「何があったかは後で聞くわね。 取り敢えずそこで伸びてる子を保健室に連れて行かないと……」

その後、他の先生方も来て桜衣と来夏は親に電話をして迎えに来てもらうことになった。
「今日はもう帰っていいわよ。 家でゆっくり休みなさい」
先生は桜衣と来夏にそう告げ、男子生徒を担いで保健室に向かって行った。
桜衣達も親が迎えに来て帰宅していった。

その日の夜、学校の保健室にて……

「……そうか、この子が例の能力者だね?」
「はい、天岳先生。 この子の爪が異様に伸び縮みしていたのを目視しました」
「……分かった。 この子は私が保護しよう」
「すみません、お手数を掛けてしまって……また暴れられたら大変なので……」
「大丈夫だ、この子の安全は私が確保するよ。 君はこの子の両親に説明を頼むよ」
「分かりました」
「おっと、忘れるところだった……」
「私は少し用事があるので、もうしばらくその子は預かっていてくれ」

そう言って天岳先生と呼ばれた女性は、保健室を後にした。


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