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「星の降る夜に」 第三話
2013-08-29 Thu 13:57
~第三話~
【隠していた思い】

現在時刻 【20XX/04/04(火) 13:00】


天岳先生と桜衣は、突然現れた女子生徒についていった。
「で、一体何が起こったって言うんだい?」
天岳先生が状況を聞こうとするが、女子生徒は黙ったまま走っていってしまう。
天岳先生と桜衣は少し不思議に思ったが、黙ってついていくことにした。

女子生徒が立ち止まったのは、使われていない理科実験室の前だった。
「ここです先生!」
天岳先生と桜衣と女子生徒はその教室に入っていった。

中には……特に変わった所は見つからなかった。
「……特に異常は見当たらないと思うが、君は一体何を見たと……」
そう言いながら後ろにいた女子生徒の方を向いた瞬間……
「目が合いましたね、天岳先生」
女子生徒の声が理科実験室に響き渡った。

一瞬何が起こったのか天岳先生には分からなかったが、喋ろうとして異常に気がついた。
喋れない。
いや、喋れないどころか自分の意志で体を動かすことが出来ない。
そんな天岳先生を横目に、女子生徒は喋りだした。
「呆気ないものですね先生。 どんなに頭がよくってもこの力の前では無力ですか」
そういいながら少しずつ近づいてくる女子生徒。
その目は、さっきまでとは打って変わって怒りに燃えているような目をしていた。

「て、天岳先生?」
桜衣は何が起こったのか理解していなかった。
天岳先生は黙ったまま動かない。

「あら、貴方は私の目を見なかったの?」
桜衣が動いている事に気がついた女子生徒は不思議そうに尋ねてきた。
「え……?」
「ああ、なるほど。 その女の影にいたから見えなかったのね」
女子生徒は一人で納得した様子だった。
「でも、貴方は邪魔ね……。 目撃者なんて迷惑だし」
「目撃者って……。 先生に一体何をするつもりなの!?」
桜衣は警戒しながら、天岳先生を庇う様に前へ出た。

「何をって……決まっているでしょう? 殺すのよ。 その女を」
「な……!」
「だから退いてくれる? 私は貴方を殺す意味は無いの。 黙ってるなら見逃して上げてもいいのだけれど?」
「せ、先生を見殺しにするなんて出来るわけないよ!」
桜衣は大声で言い切った。
「……そう、残念ね」
「大体何で先生を殺そうとするの!? 先生は生徒思いで優しい人なんだよ!?」
「……学校でそいつがどんな奴かなんて関係無いわ!」
「そいつのせいで私の家族は破滅に追い込まれたのよ!」
女子生徒の叫び声が理科実験室に響き渡る。

「私の父はね、学者だったのよ……」
「プライドが無駄に高かったけど、優しい自慢の父だったわ……」
「ある日、学会で父が論文を発表していたら突然その女が学者達の前で父の考えの全てを否定してきたのよ!」
「父は嘘つき呼ばわりされて、学者達の笑いものよ」
「それからの父は見てられなかったわ……」
「酒に溺れ、母や私にも怒鳴り散らしたり……今までの父が嘘みたいに……」
「そして……あの祭りの日の後、父は自殺したのよ……」
「……自殺……」
それまで黙って聞いていた桜衣が言葉を漏らした。

「父が死んでから母もおかしくなっちゃったしね」
「だから、父の死体を見た時……いや、この力を身につけた時からずっとあの女を殺す事を考えてたわ」
「最初は驚いたわよ? この力を初めて試したのは母を相手にした時だったから」
「お、お母さんを!?」
「そう、母がおかしくなるのを見てられなくてね」
「私が母を睨み付けた瞬間、母は身動き一つしなくなったわ」
「そうね、言うなれば……金縛りにあってるようなものかしら」
「金縛り……だから先生はさっきから動かなくなって……」
「貴方にはもう使えないから教えてあげるけど、この力って一日に一回しか使えないのよね」
そう言いながら、女子生徒はポケットからナイフを取り出した。

「さて、無駄話しすぎたわね。 早くその女を殺さなきゃいけないんだけど?」
「そんなこと絶対にさせない!」
桜衣は近くの掃除用具入れから、箒を取り出した。
「ふふ……そんなものがナイフ相手に何の役に立つのかしら?」
桜衣は黙って箒を女子生徒の方へ向けた。
(……確かに刃物に箒で挑むのは馬鹿げてるかもしれないけど……)
桜衣は突然、近くの棚や机、床などを箒で叩いた。
理科実験室に大きな音が響き渡る。

「……なにそれ? 肝心の私に全然届いてないわよ?」
女子生徒は呆れながらも、ナイフを構えながらゆっくりと桜衣に近づこうとした。
しかし……
「誰かいるのか?」
突然、理科実験室の外から声が聞こえた。

すかさず桜衣は大声で叫んだ。
「助けて! 刃物を持った子に襲われてるの!」
「あ、貴方! まさか人を呼ぶために……!」
先ほどの桜衣の行為の意図を知った女子生徒だったが、気づくのが遅かった。

ドアの奥にいる人物が聞いてきた。
「……その声、桜衣か?」
「え? ええっと……」
しかし、桜衣には誰だか分からない様子。
「光雷だ! 今ドアを開けるからドアの前から離れてろ!」
「あ、光雷先輩ですか!? でもドアから離れてろって……」
桜衣が混乱しつつもドアから離れると、女子生徒が不敵に笑った。
「ふふ……無駄ね! そのドアには鍵を掛けてるのよ!」
「誰だか知らないけど、そのドアを開けるのは……」

次の瞬間、女子生徒の言葉をかき消すようにドアが大きな音を立てて吹き飛んだ。

「……は?」
女子生徒は口を開けたまま動かなくなってしまう。
桜衣も突然の出来事に驚いて床に座ってしまった。
ドアがなくなった理科実験室の入り口から出てきたのは、大きな図体のマッチョの男だった。
制服を着ているところを見ると辛うじて桜衣と同じ中学生だと分かるが、
服の上からでも分かるほどの筋肉と190cmほどある身長のせいで、とても中学生に見えない。
しかし桜衣は、3年生にどう見ても中学生には見えない先輩がいたことを思い出した。
名前は山崎さん。
本名は分からないが、みんなからはマチョ崎さんと呼ばれている。

「だ……だだ、誰よ貴方!」
女子生徒は混乱してナイフを突きつけている。
しかし女子生徒は、いつの間にか後ろに回りこんだ光雷によって首に手刀を食らい、気絶してしまう。
「ふぅ。 桜衣、大丈夫か?」
光雷が心配そうに桜衣に近づく。
「は、はい……ただちょっと吃驚して腰が抜けちゃって……」
「無理もないな。 ああ、マチョ崎さんは先に教室に帰ってていいよ。 後の事は自分がやっておくから」
マチョ崎さんは小さく頷くと、ゆっくりと理科実験室から出て行った。

「ふう、やっと動けるな。 礼を言うよ光雷君」
女子生徒が気絶した事で金縛りが解けたのか、天岳先生がゆっくりと歩いてきた。
「あれ? 天岳先生いらしたんですか?」
光雷は突然現れた天岳先生に少し驚いた。
「あ、先生! もう大丈夫なんですか?」
「ああ、しかし……随分派手な登場だったねぇ」
天岳先生は呆れながら、吹き飛んだドアを見ていた。

「鍵が掛かってましたからね。 マチョ崎さんが一緒にいて助かりました」
「それよりも、彼女をどうするかなんですが……」
光雷は気絶している女子生徒に視線を戻す。

「彼女は私に任せてくれないかい?」
天岳先生は女子生徒を担ぐとそう言った。
「え!? でもその子は先生を狙って……」
「分かってるよ。 でも彼女を狂わせてしまったのは私なんだろう?」
「彼女が起きたらちゃんと謝らないといけないしね。 それで許してくれるとは思ってないけれど」
「……それにこの子の能力は目を見なければいいって分かったから大丈夫だよ」
「で、でも……」
桜衣が止めようとしたが、天岳先生は女子生徒を担いで理科実験室から出てしまった。

「……自分達も行こう。桜衣。 今電話で他の先生に連絡しといたから」
「うん……」
桜衣はまだ消えぬ不安を振り払うように理科実験室から出て行った。

次の日、学校の体育館にて……

「えー、以上を持ちまして入学式を終了いたします」
体育館に教頭先生の声が響き渡る。
ぞろぞろと体育館を後にする人々の中にいた、綺麗なオレンジ色の髪をした女の子が一人呟いた。
「ふふふ、今日から始まるんだ……! 私の楽しい中学生活が!」
怪しく笑う女の子は、ゆっくりと体育館を後にした。


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