非日常とか書きながら日常的な事しか起こりません
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨
「星の降る夜に」 第四話
2014-03-08 Sat 22:27
~第四話~
【迷惑な遊び<前編>】

現在時刻 【20XX/04/11(火) 09:30】


「うーん……」
「どうした桜衣? また考え事か?」
「あ、おはよう来夏ちゃん」
「おう、おはよう」

天岳先生が殺されそうになったあの出来事から一週間。
桜衣は、あの日からますます能力者について考える事が多くなっていた。

後日、桜衣が天岳先生を心配して部室へ向かうと
天岳先生は何事もなかったかのように出迎えてくれた。

桜衣が気になって「あの子は?」と聞くと、天岳先生は少し微笑みながら
「今は落ち着いているよ。きちんと謝ってはおいたが、それで彼女に許してもらえたかどうかは分からないけどね」
とだけ答えた。

その後、天岳先生と能力者について少し話をした後、
「何かあったらすぐに私に言うんだよ」と天岳先生に言われた桜衣は、「分かりました」と答えてその日は家に帰った。

それから今日までの一週間、取り敢えずは特に何事も無く、
来夏も無事に登校するようになり毎日が過ぎていったが、
桜衣は嫌な予感を振り払えずにいた。

そんなことを考えていると、桜衣は後ろから突然声を掛けられた。
「あの、すみません……」
「あっ、はい!? なっ、なんですか?」
「実は昨日の数学の宿題で分からないところがあったから、ちょっと聞きたい事があって……」
そう言って桜衣に話しかけてきたのは短い頭髪に丸い眼鏡をかけ、黒い学ランをきちんと着ていた男子生徒だった。
大事な行事の時以外は、ある程度服装の自由が認められているこの学校できちんと学ランを着ている者は中々居ない。

「あ、伊藤君! 伊藤君から話しかけてくるなんて珍しいね!」
「えっと……そうかな?」
「うーん、そうじゃなかったかな? 普段あんまり喋ったりもしなかったし……」
「あ、それで数学の宿題だったよね? えっと……」
そう言いかけて桜衣は「あっ」と声を漏らした。
ここ最近、色々な事を考えていたせいで宿題の事をすっかり忘れていたのだ。

その事を思い出した桜衣は、伊藤に「ちょ、ちょっと待っててね!」と言いながら、
慌ててペンとノートを鞄から取り出し、すらすらとペンを動かしていく。

5分後、「ふぅ…」と一息ついた桜衣はノートを持って伊藤に近づく。
そんな桜衣の行動を見ていた伊藤は、少し驚きながら桜衣に尋ねた。

「白星さん……もしかして今宿題を……?」
「う、うん。 すっかり忘れてて……」
「でも大丈夫だよ! 今終わらせたから!」
「やっぱり凄いね白星さんは……宿題をあんなに早く終わらせちゃうなんて……」
「えへへ、そうかな? でも伊藤君だって凄いよ! 毎日欠かさずに宿題も勉強もしてるし……」
「そんな、僕はただ真面目にやっているだけで大したことは……」

そんな会話をしていると、チャイムと共に担任の先生が教室に入ってきたので、
桜衣は慌てて宿題の解答を伊藤に教えた……


~3時間目~


「はぁ、体育かぁー……」
「なんだ桜衣?また大きなため息なんかして」
「桜衣って体育の度にため息ついてるよな」
「だって体育苦手なんだもん……」
「やれやれ、桜衣は頭は良いのに運動はからっきし駄目だもんなー……」
そう冗談半分で来夏は言うが、桜衣の心にはその言葉がグサリと刺さっていた。

桜衣もその事は十分分かっていた。
だけど小さい頃からどうも運動だけは苦手だった。
苦手といっても運動神経は人並みほどにはあったので、桜衣は鍛える必要がないと考えてしまっていた。
その結果、桜衣は運動神経はまったく良くなっていなかった。

「来夏ちゃんはいいよね。運動神経抜群だし、スポーツだって大体出来るし……」
「まぁ、俺は昔から親父に厳しくされたからな。 どうだ? 今度一緒にスポーツても……」
「え、遠慮しとくよ……」
「そっか。 でも桜衣とスポーツしたかっ…」
来夏が言葉を言いかけた時、同じクラスの男子達の方から盛り上がった声が聞こえてきた。
なんだろうと桜衣と来夏が向かってみると、そこにはなんと十五段の跳び箱と、
クラスでいつも無茶をやらかす藤崎がいた。

「え…まさか、あれを跳ぶの!?」
「おいおい、あんなの俺でも跳べねぇぜ……!」
そんな桜衣達の心配をよそに、藤崎は行くぜ!と言って勢いよく跳び箱に向かって走り出した。

ジャンプ台を思い切り踏み込み、勢いよく宙に浮いた体は一瞬跳び箱を飛び越えたように見えた。
……が、そう見えたのは本当に一瞬だけで、すぐさまその体は十五段というとんでもない高さの跳び箱に突っ込んだ。

ばこんっ!
という大きな音と共に跳び箱は崩れ落ち、それと同時に「痛てぇ!!」という声が体育館中に響いた。
桜衣が慌てて近寄り「大丈夫?」と声を掛けると、藤崎はなんともなかったかのように立ち上がった。

「ああ、これくらい屁でもないぜ!」
「そう……よかった……」
「それよりも、俺の有志を見たか!? どうだ、かっこ良かっただろ!」
「え!? ええっと…そ、そうだね。 かっこ良かったんじゃないかな……」

桜衣は少し困ったように答えた。
なんでいつも男子はこうも無茶なことばかりやるのか。
桜衣にはそれが全く分からなかった。
いや、この先も分かることはないのだろう。

そんな事を考えていると授業終了のチャイムが鳴ったので、
桜衣は藤崎と軽く談話していた来夏を引き離し、体育館を出て行った。


そして放課後……


「うぅ~……まさか教室に忘れ物をするなんてー」

そうブツブツと言いながら、桜衣は自分の教室に向かっていた。
夕暮れ時で残っている生徒は殆どいなく、赤く染まった空から漏れる光で廊下は普段とは違った雰囲気を醸し出していた。

そんな廊下をとぼとぼと歩いていると、お目当ての自分の教室を見つけ桜衣はドアを開けようと手にかけた。
……と、その時教室の中で揺らめく影に桜衣は気づいた。
一週間前の事もあり、桜衣はもしもの事がないように警戒を怠らないようにしていた。
桜衣はドアに付いた窓から中の様子を確認すると、そこには朝宿題について話しかけてきた伊藤がいた。

「なんだ、伊藤君かぁ」と安心し桜衣は教室に入ろうとしたが、彼の様子が何かおかしいことに気がつく。
よく見ると伊藤はチョークを持っており、そのチョークで黒板に黙々と何かを書いているようだった。

何を書いているのか気になった桜衣は、目を凝らして黒板をジッと見つめてみる。
すると、全部ではないが何を書いていたのか概ね分かった。
いや、書いているというよりは……

「落……書き…? でもなんで……」

そう、普通に考えば彼がそんなことをするとは考えられない。
他の男子ならともかく、いつも真面目で悪さを一切しない伊藤が黒板にただ落書きをするなんて桜衣は思えなかった。

何にせよ、ここで教室に入るのは気まずい上、彼にショックを与えてしまうかもしれないと考えた桜衣は忘れ物を諦めて、その日は大人しく帰ることにした。


翌日、来夏と共に登校してきた桜衣は、教室に「みんなおはよー!」と元気よく挨拶しながら入った。
しかし、桜衣の挨拶は教室内のあちこちで聞こえるざわめきにかき消されてしまった。

隣にいた来夏がクラスの一人に何かあったのかと聞くと、
桜衣も来夏も予想していなかった答えが返ってきた。

「あ! 2人ともおはよ! 聞いてよ、2人とも。 なんと藤崎が……」
「昨日窓から飛び降りて、入院したんだって!」
「え……」
「「ええーー!!?」」

第五話へ第三話へ
スポンサーサイト
別窓 | 小説 「星の降る夜に」 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<お久しぶりです!! | HOME | 「ポケモン・ジ・オリジン」と「あの花」の話>>
この記事のコメント
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。