非日常とか書きながら日常的な事しか起こりません
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「星の降る夜に」 第六話
2014-05-14 Wed 22:31
~第六話~
【灯りの消えた場所<前編>】

現在時刻 【20XX/04/15(土) 10:00】


舞が天文研究部に入って三日後、桜衣は天岳先生に突然呼び出されて学校に来ていた。
早朝に電話で「桜衣君、重要な話がある。 部室に来てくれ」とだけ言われて一方的に切られてしまったので、
ゆっくり休もうとしていた桜衣は眠そうな目を擦りながら渋々学校に向かった。

(せっかくの休みなのに、一体何の用だろう?)
部室の前に着いた桜衣はそんなことを考えながら扉を開けた。
すると……

「うりゃー!!」

両手を広げた舞が目の前から突撃してきた。

「わわっ!?」
突然の事に桜衣は驚き、舞をかわしそこねて押し倒される。

「あ、桜衣! 大丈夫か!?」
部室の中から桜衣を心配する来夏の声が響く。

「う、うーん……なんとか……」
押し倒された桜衣は、舞を退かしながら返事をした。


「それで、なんでこんなことしたの舞ちゃん?」
桜衣は少し不機嫌そうに舞に尋ねる。
その頭にはよく見ると小さなタンコブが出来ていた。

「えぇっと、あの時の仕返しかな!」

「う……」
舞は満面の笑みで答えるが、無茶をして舞を捕まえたのは桜衣の方だったので、何も言い返せなかった。

「おいおい、あんまり仕返しってのもよくないんだぜ?」
「え? そうなの?」
「……舞がどういう教育を受けてきたのか気になってきた……」
舞の物事の知らなさに来夏は半ば呆れながら部室に置いてあった天岳先生が用意したクッキーを食べた。

「それにしても……あの先生、人を呼びつけておいて部室にいないってどういうことだよ……」
桜衣と同じように呼び出された来夏と舞が部室についた時には天岳先生の姿は無く、
変わりに「ここで少し待っていてくれ」と書かれた小さな紙とクッキーが置かれていた。

「天岳先生って不思議な雰囲気があるよねぇ。 他の先生と比べると変って言うかー……」
「あの先生は俺達が入部した時からずっとあんな感じだぞ。 それ以前は知らないけど」
「うーん…この学校で天岳先生を一番よく知ってるのは天文研究部設立時からいたって言ってた光雷先輩くらいかなぁ」
桜衣達がクッキーを食べながら話をしていると部室の扉が開かれた。

「やぁ、待たせたね」
「もー、遅いですよ天岳先せ……!?」
桜衣が文句を言おうと扉の方を向くと、そこには大量の紙の束を抱えた天岳先生がいた。

「ど、どうしたんですかその紙……?」
「あぁ、これかい? これは、この街で一週間の間に起きた停電の詳細記録だよ」
「停電……?」

天岳先生は大量の紙を机の上に置き、ゆっくりと桜衣達に説明を始めた。

「最近、所々で停電が頻発しているのを知っているかな?」
「停電…ですか……来夏ちゃんは知ってる?」
「いや、知らないな。 舞は?」
「僕も知らないー」

「……まあ、知らないのも仕方ないか」
天岳先生は深いため息をつき、話しをしながら用意していた紅茶を飲み干して説明を始めた。

「最近、この街の各所で停電が相次いで起こっていてね。 少しそれについて調べていたんだよ」
「でも停電なら普通の事なんじゃないのー?」
「……相次いで、と言っただろう。 普通の停電ならこんな面倒な事はしないよ」
「それは、天岳先生は普通じゃないと考えているんですか?」
桜衣の問いに天岳先生はコクリと頷いた。

「二回や三回、連続して停電を起こすぐらいならありえるだろう。 そういう事例が無いわけじゃないからね」
「ただ、一週間で30件も連続して停電を起こしているのは、正直考えられない」
「しかも、停電を起こしている場所は互いに近いが地域全体が停電しているわけじゃない」
「雷が落ちたわけでも地震が起こったわけでもないのにこれほどの規模で停電が起きているのは、正直ありえないよ」
「それこそ何か特別な『理由』が無い限り……ね」

「特別な『理由』……」
桜衣には心当たりがあった。
自然の力ではあまりにも不自然なこの現象を起こしうる理由を。
「……能力者……」
桜衣の口から自然と出た言葉は、その場にいたみんなを納得させるのに十分な効果があった。

「そう、能力者だ。 おそらくね」
「で、でも! なんでそんな事を……」
「それは直接会って聞いてみるしかないだろうね」
「おい、まさか俺達を呼んだのって……」

「もちろん、君達にその能力者の事を調べてもらうためだよ」
来夏が言おうとした言葉を天岳先生はいつも通りの暗い顔で答えた。


……11時をまわった頃、桜衣達は三人で学校から少し離れたレストランに来ていた。

「それにしても、人使いが荒いぜあの先生……」
来夏は料理が運ばれてくる間に、独り言のように愚痴を吐いた。

「仕方ないよ。 天岳先生は昔からずっとそんな感じだったし」
「そうだけどさぁ……自分で調べればいいのに、なにが「私はやることがあるから君達に頼みたい」だ」
「まぁまぁ、天岳先生もああ見えて忙しいんだよきっと。 それに……」
「それに……?」
「……ううん、なんでもない!」

(私も能力者の事が気になるし……)と、喉まで出かかった言葉を桜衣は飲み込んだ。
そんな事を来夏に言ってしまうと、「危険な事に自分から首を突っ込むな!」と注意されるという事を桜衣は分かっていた。

(来夏ちゃんが心配してくれてるのは分かるけど、能力者の事も放っておくわけにはいかないしなぁー……)
そう桜衣が考えていると、反対側に座っていた舞が何かを言い始めた。

「モグモゴモゴ、モモモグモゴモゴッ!」
「えぇい! 何を言ってるのか分からんし口に入ってる物が飛んでくる! ちゃんと食べ終わってから喋れ!」
「……ゴクッ! ふー、ここのオレンジパフェって凄く美味しいねっ!」
「……言いたかったことってそれだけかよ……」
「ていうか何で飯の前にパフェ食ってるんだお前……」

満足げな顔になった舞が桜衣に喋りかけた。
「それで、どうやって能力者を探すのー?」
「えっとね、天岳先生から地図と、周囲の電波の強さを測る小型の測定器を貰ってきたからそれで地道に探すしかないかなぁ」
「測定器?」
「うん。 天岳先生が今回の能力者は十中八九、電気に関する能力だろうからってくれたんだ」
桜衣はポケットから小型の機械と、折りたたんだ地図を出した。

「この地図に付いてる赤い印は?」
「これは停電の起こった場所。 こうやってみるとこの付近に集中して起こってるらしいね」
「じゃあ後はそのヘンテコな物で調べればいいんだね! ちょっとワクワクしてきたよ!」
「おいおい、遊びじゃないんだぞ。 それで……桜衣、もし能力者を見つけたとしてその後はどうするんだ?」

桜衣は少し考えて、こう答えた。
「……天岳先生から言われたのは能力の実態と能力者の詳細、動機などを調べてくること」
「あと、抵抗したりやむを得ない時は二人の力を使って能力者をなんとか捕縛、または追跡して私に連絡してくれって……」
「で、でも! 確保するのは最終手段だよ! 話し合いで解決できればそれに越したことはないし……」
「分かってるよ、桜衣は相手をなるべく傷つけたくないんだろ? それに、もしもの時は舞がいる」
「舞の能力は『憑依する力』、この力なら相手を傷つけずに捕縛できるだろ」
「効果は食らった俺が保障するぜ。 まったく逆らえなかったからな」
「そうそう! 僕に任せてよ!」
「う、うん。 もしもの時はお願いね、舞ちゃん」

「お待たせしました」
桜衣達が話していると、店員が料理を運んできた。

「お! やっときたか!」
「わぁ、美味しそう!」
「僕もお腹減ってたんだよね! よぉし、いっぱい食べるよ!」
「お前さっきパフェ食ってたじゃねぇか!」
「甘いものは別腹なんだよ! 知らないの?」
「……舞に馬鹿にされるとものすごくイラつくな……」
「あはは…… さ、冷めない内に食べちゃお?」

桜衣が料理を近くに置くため、測定器と地図をしまおうとすると……

「……あれ?」
「どうした桜衣?」
「えっと……もしかしたら故障かもしれないけど、測定器が……」
「…?」
来夏が測定器を見てみると、電波の強さを示す針が右端に寄っていた。

「……これって、ここの周囲の電波が異常に強いってことか?」
「もし故障じゃないなら、そういうこと……かな」
「二人共どうしたの? 先に食べてるよー?」
「あ、舞ちゃん、あのね……」

桜衣が舞に説明をしようとした瞬間、バチッというような妙な音が小さく響き、店の明かりが急に消えた。
「え!?」
桜衣達が驚いて周りを見渡すと、店内はパニック状態になっており、店員が慌しく動き回っていた。

「桜衣、これって……」
「停電……ていうことはもしかして近くに……!」
桜衣そう言うと、急いで店の外に出て行った。

「お、おい桜衣! 舞、俺達も行……」
来夏が舞に声を掛けようと舞の方を振り返ると……

「……これも美味しいなぁ!」
舞は停電したことにも桜衣が出て行った事にも気づかずに、目の前にある料理を頬張っていた。


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