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「星の降る夜に」 第七話
2014-05-17 Sat 20:50
~第七話~
【灯りの消えた場所<後編>】

現在時刻 【20XX/04/15(土)11:10】


勢いよく店から飛び出していった桜衣を追いかけて、来夏と舞も直ぐに会計を済まし、店から出てきた。

「桜衣のやつ……一体何処に……」
「あ、あそこにいるよ!」
舞が指差した方向には、店の駐車場に蹲っている小さな男の子に近づいていく桜衣の姿があった。

「君、どうかしたの?」
桜衣は心配そうに男の子に近づき、声を掛ける。
どうやら能力者を探しに出たはいいが、一人で蹲ってる子供を見つけて放っておけなかったらしい。

「……ったく、心配させやがって……」
来夏は桜衣の姿を見つけて一安心し、何気なしに持っていた測定器に目をやる。

「……ん? なんだこりゃ?」
「どしたの?」
「いや……ほら、測定器の針が荒ぶってる……」
来夏が舞に見せた測定器は、強さを測る針が右に行ったり左に行ったりを繰り返していた。

「うわぁ、やっぱり壊れてたんじゃない?」
「そう……かな?」
来夏は内心では納得していなかった。
測定器が壊れたにしては妙にタイミングが良すぎる。
実際に停電は起こっていたし、もし測定器が壊れていないなら……

来夏は辺りを見渡し、一つの事に気づいた。
今駐車場にいるのが、桜衣、来夏、舞、そしてあの男の子だけだという事に。
測定器で測れる範囲は精々この駐車場の広さぐらいだろう。

「となると……まさか!」
「桜衣! その子から離れろ!!」
「え?」
桜衣が来夏の方を向くのとほぼ同時に、蹲っていた男の子の体からバチッ!という音と共に閃光が走り、
近くに止めてあった車に直撃し、光はすぐに消えていった。

「な、なに今の!?」
車の近くにいた舞は飛び上がりそうなほど驚き、桜衣は男の子から急いで離れ、来夏の元にやってきた。
「やっぱりあの子が……!」
「そ、そんな……」

「う……うわぁぁぁ!! もう嫌だよぉ! 止まってよぉぉ!!!」
ずっと蹲っていた男の子がいきなり大きな声を上げ、すさまじい音と共に辺りに無数の閃光が走った。

「うお!?」
「きゃ!」
桜衣と来夏は身の危険を感じ、すぐさま地面に伏せた。

「うわぁ、凄い凄い!」
舞は離れた位置から暢気に感想を述べている。

「くそ、一体なんだってんだよ!」
「あ、あの子……」
桜衣は、耳を塞ぎながら蹲って閃光を放つ男の子のある変化に気づいた。

「もしかして……泣いてる……?」
「おい、どうかしたのか桜衣!」
「来夏ちゃん! あの子泣いてるの! 私の予想だけど、もしかしたらあの子の意志でやってる事じゃないのかも!」
「なんだって!? で、でもそれなら尚更どうすれば……」
「あの子、自分の能力の抑え方が分からないのかもしれない! 舞ちゃんの能力で何とかあの子の能力を抑えられないかな!?」
「そ、そうか……舞の力なら……!」
「おい、舞!! そんなところで暢気に感動してないで、あの子の中に入って能力を何とか抑えてみてくれ!」

「ほえ? りょうかーい!!」
来夏に呼ばれた舞は元気よく返事をすると、その場に座り込んで動かなくなった。
少しすると、男の子から閃光が出なくなり、辺りは静寂に包まれた。
「入れた……の?」
桜衣が動かなくなった舞と男の子の方を交互に見て、ゆっくりと立ち上がった。

「舞ちゃん? 大丈夫?」
桜衣が男の子に近づき、中にいるはずの舞に話しかける。

「お、おい? 舞?」
来夏は不安そうに男の子に近づくが、舞の返事は何時までたっても来ない。

「ま……」
桜衣が舞の名前を呼ぼうとした瞬間、桜衣と来夏の間に小さな音と共に閃光が走る。
「「え?」」
突然の事すぎて、桜衣と来夏には何が起こったのか分からなかった。

「だ、だめ……これ、予想以上に苦しい……」
男の子が苦しそうに小声で言葉を放つ。
「まるで、雷を体の中に飼ってるみたい……ビリビリして凄い気持ち悪い……!」
それが舞が喋ってることは桜衣と来夏にもすぐに分かった。

「おい舞! 大丈夫か!?」
「こんな気持ち悪さ、そんな長くは抑えられないよ……どうすればいいの……!」
「く……桜衣、どうにかならないか!?」
「……舞ちゃん! 私の言った通りにやってみて!」

桜衣は舞の言っていた言葉から一つ推理していた。
(体の中に雷を飼ってる…… さっき放出されたのが体の中に溜まってる電気だとしたら……どうにかしてそれを一気に出せれば……)
「舞ちゃん! 地面に腕を立てて腕の先に意識を集中してみて! その際、中から出ようとしてる力を我慢しないで!」
「え、う、うん! よく分かんないけど、とにかくやってみる!」
舞は言われた通りに地面に両腕を立てて、腕の先に意識を集中してみた。

「こ、これで、中から出ようとしてる力を我慢しないで……」
舞はその場でゆっくりと深呼吸を始めた。
その瞬間、男の子の体からバチバチッと大きな音が響き渡り、しばらくするとそれも止んだ。

「ど、どう? 舞ちゃん?」
桜衣が心配そうに尋ねると、男の子は起き上がって伸びをした。
「……うん! だいぶ楽になったよ! 凄いね桜衣は!」
「よかった……でも大したことやってないよ…? 舞ちゃんがいなかったらどうなってたか……」
「まぁ、過ぎたことだし、いいだろ。 それで、この後この子はどうするんだ?」
「それは……」

「その点は心配しなくていいよ、桜衣」
桜衣がどうしようか考えていたら、いつの間にか駐車場の入り口に光雷と天岳先生が立っていた。

「て、天岳先生に光雷先輩!?」
「あんたら……何時の間に……」
「君達に渡した測定器には、強力な電波を確認すると居場所を知らせる発信機の機能も付いていたんだ」
「え!?」
「勝手にそんなことをして悪かったが、それのお陰で駆けつけることが出来たよ」
「それにしてもよくやってくれたね君達。 お陰で何とかその子の力を止められそうだよ」
「え? ど、どうやってですか?」
疑問を投げかける桜衣をよそに、天岳先生は光雷に指示して、黒い服のようなものを持ってこさせた。

「それは?」
「これかい? ただのゴムスーツだよ。 光雷君、これをあの子に着せてあげてくれないか?」
「分かりました、先生」
「ゴ、ゴムスーツ? なんだってそんなものを……」
「詳細な説明は省くけど、私達も色々調べてたんだよ。 その子の能力についてね」
「分かったことは、その子の能力は『蓄電能力』ってことだけだけどね」

「ふぁぁ……ふぅ、その蓄電ってどういうことー?」
いつの間に元の体に戻ったのか、舞があくびをしながら歩いてきた。

「体の中に電気を溜め込む力ってところかな、 本来は溜め込んだ電気を自由に放出したりも出来るだろうが……」
「その子の場合は、おそらく幼すぎて力をうまく使えなかったんだろう」
「周りから無差別に電気を取り込んで、それをうまく放出できなかったから自分の意志とは関係なく、漏電してしまったんだね」
「漏電……」
「そう、だから様々な場所で停電騒ぎが起きたんだろう。 漏れ出した電気が民家のアンテナにでも直撃でもしたんだろうね」
「なるほど、それでゴムスーツですか……」
桜衣は納得したような顔をしていたが、来夏や舞は頭上にハテナマークを浮かべていた。

「あのスーツを着ていれば、そこまで無差別に電気を取り込んでしまうことも無くなるだろう」
「あぁ、そういうことか」
「ふーん、ならあの男の子はそれさえ着てれば大丈夫なの?」

舞の問いに、天岳先生は男の子の方を見ながら答えた。
「いや、あくまで一時的だ。 まさか能力をうまく使えるまでずっと着ているわけにもいかないだろう」
「え? じゃあどうするんだよ」
「……だから私が来たんだ。 あの子の力を完全に抑える方法を探るためにね」
「……確保するってことですか?」
「そうだ、桜衣君は嫌だと思うかもしれないが、これは必要なことなんだよ」
「あの子をこのままにすると、いつか自分自身の体をも壊してしまうかもしれない。 分かってくれるね? 桜衣君」
「……分かりました……でも、一つ約束してください」

桜衣は真っ直ぐ天岳先生の方を見て言った。
「必ず、あの子を救ってください……」
「知らない子だけど、あの子の泣いてる姿……凄く悲しそうで、もうあんな顔してほしくないんです」
「実際きつかったからねぇー」
「……それは保障しよう。 あの子の能力は必ずなんとかするさ」
「お願いします……」
「それじゃあ、私と光雷君はあの子を連れてあの子の両親に話しを通してくるよ」
天岳先生はそう言うと、光雷と共に男の子を抱きかかえてゆっくりと歩いていった。

天岳先生が去った後、取り残された桜衣達はこの後の事について話し合っていた。
「さて、俺達はどうしようかね」
「天岳先生は行っちゃったし、どうしよっか?」
「僕、オレンジパフェ食べたい!」
「またかよ!! どんだけ気に入ったんだ!」
「えっと、残念だけどあのレストランは停電してるから無理じゃないかな?」
「えぇ!? えー……」
「そんな露骨に残念そうな顔しても仕方ないだろ」
「そうだ、俺のオススメのたこ焼き屋が近くにあるんだ。 そこに行こうぜ」
「えー……甘いものがよかったなぁ」
「文句言うな。 ほら、早く行くぞ!」
「はいはいー……」
来夏と舞は走ってたこ焼き屋に向かっていった。

「ちょっ、ちょっと待ってよ来夏ちゃん! 舞ちゃん! 私も行くー!」
一歩遅れた桜衣は、来夏の好物のたこ焼きの味を想像しつつ、足の速い二人に一生懸命着いていった。


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