非日常とか書きながら日常的な事しか起こりません
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「星の降る夜に」 第八話
2015-03-08 Sun 13:04
~第八話~
【果たし状】

現在時刻 【20XX/04/17(月)08:40】


「っとっと……後五分か、ギリギリセーフだな」
「全く親父のやつ、何が今日からこの服を着ていけ、だ……しかも完成するまで少し待てって……」
「見た感じ普段と変わらねぇし一体なんだって……ん?」

来夏は上履きに履き替えようと自分の下駄箱を見たら、中に何か紙のようなものが入っているのを見つけた。


……出席確認が終わり一時間目が始まる前、桜衣は珍しく遅刻しそうになった来夏の元へ行き、訳を聞きにいった。
最近の出来事の影響で、桜衣は小さな事でも何かあったんじゃないかと心配するようになっていたのだ。
一方、そんな桜衣の心配をよそに来夏は一枚の紙を片手に頭を悩ませていた。

「来夏ちゃん、どうかしたの?」
「あぁ、桜衣……なあこれ、読めるか?」

そう言って来夏が持っていた紙を桜衣に渡した。

「え、手紙? えっと……果たし……壮?」

来夏に渡された紙には、デカデカと『果たし壮!』と書かれていた。

「……これ、もしかして果たし状? 漢字間違ってるけど……」
「ああ、多分な。朝、下駄箱に入ってたんだ」
「それで、裏にも色々書いてあったんだがそっち見てくれるか?」
「う、うん」

言われた通り裏面をみると、何かが書かれていた。
しかしその文字は到底理解できないぐらい下手で、辛うじて場所と時間が分かる程度だった。

「放課後、剣道場に一人で……ごめんね来夏ちゃん、他のところはさっぱり分からないよ……」
「おぉ、それだけ分かれば十分だ。 俺なんてさっぱり分からなかったぜ」
「それにしても果たし状って……来夏ちゃん、もしかして行くの?」

桜衣が心配そうに尋ねる。

「まぁな。 無視して逆恨みされても困るしさ」
「うーん、でも……」

桜衣が言おうとした言葉は、一時間目が始まるチャイムで掻き消されてしまった。

「大丈夫だって。 やばそうだったら逃げるからさ」
「う、うん……気をつけてね?」
「おう」

桜衣は納得出来なかったが、来夏に任せることにした。


……放課後、他の生徒が帰宅したり部活動に向かう中、来夏は手紙に書かれていた場所に向かっていた。

「しっかし本当に下手くそな字だな……名前が書いてあろう場所も全く読めん」
「……今日は暑いな、さっさと用事済まして早く帰って風呂にでも入るか」

来夏が体育館の隣にある剣道場へたどり着いた頃には、夕方になっていた。

「着いた……が、誰もいないし」

剣道場の中には、特に変わった点もなく誰もいなかった。

「……早く着きすぎたのか?」

来夏が剣道場から出ようとすると入り口の扉が大きく開かれ、外から白髪の少女が現れた。
少女は来夏を見るなり声にならない悲鳴をあげ、大きく仰け反った。

「な……ななななな何でもういるのさ!!?」
「俺を呼び出したのはお前か? 何でいるってお前が呼んだんだろ……」
「ぐぐぐ……しょうがない、そこで少し待ってろよー!!」

少女はそう言って剣道部の倉庫に入っていった。
来夏が言われた通り少女が出てくるまで待っていると、しばらくして少女が竹刀二本と面などの剣道具を取り出してきた。

「……よし、灯空来夏!! 私はお前に決闘を申し込むぞ!!」
「積年の恨み……今こそ晴らすとき!」

声高々にそう宣言して、少女は来夏に竹刀と剣道具を渡した。

「……決闘、ね。 理由ぐらいは聞かせてくれるんだろうな?」
「うん? それなら果たし状の裏に事細かーく書いといただろう」
「ああ、あの虫が潰れたような文章か……こう言っちゃ悪いが、もう少し字を書く練習したほうがいいんじゃないか?」
「な!? も、もしかして読めなかったのか!?」
「あれを読めるやつがいたらこの目で見てみたいぜ」

少女は髪を弄りながら小声で「苦手なんだもん文字書くの……」と言った。

「……ってそんなことはどうでもいいのだ! 試合でお前に負けたときから、この日をずっと待ちわびていたぞ!」
「試合に……? あぁーなんとなく思い出したぜ。 そういえば去年ぐらいに剣道の試合で戦ったな」
「名前は確か……玲奈だったか?」
「今まで気づいてなかったのか!? こんなクールビューティーな顔を忘れるなんて……」
「どこがクールでビューティーなのか知らんが、試合なら受けて立つぜ」

来夏は剣道具を着け、竹刀を構えた。
対する玲奈は不敵に微笑んでいる。

「ふっふっふ……そう余裕ぶっていられるのも今のうちさ……私には秘密の作戦があるのだからな!」
「あん? 作戦?」

玲奈も剣道具を着け竹刀を構えた時、来夏は妙なことに気づいた。

(なんだこの感じ……寒い?)

日が沈み始めているとはいえ、今はもう4月。
それに今日は雨も降ってなく、剣道場に来るまではむしろ暑かったはず。
それなのに来夏は今、寒さを感じていた。

「ふふ……どうした? 少しばかり震えている気がするぞー?」
「……なんでもねぇよ」

玲奈と来夏は互いに相手の隙を探る。
一瞬でも隙を見せたら直ぐに勝負が決まるような緊迫した状況だ。
そんな中、剣道場の窓が風によってガタガタと音を鳴らした。
玲奈は一瞬だけ窓の方に注意が逸れてしまい、その隙を逃さず来夏は竹刀を面に当てようとした……が。

「……なっ!?」

一歩踏み込んだと思った来夏の足は、全く動かなかった。
正確には、動かせなかった。
来夏の足のすねから下は、いつの間にか氷が纏わりついていた。

「なんだよ……これ!? 」

その場でもがいてみるが、足が氷に固定されてしまっていて全く動かせない。

「くくく……どう? 驚いたでしょ?」
「お前、まさか……」

来夏の脳内には能力者という言葉が浮かんでいた。
朝、桜衣と交わした会話が脳裏に浮かぶ。

(桜衣の予感はよく当たるな……どうしたもんか……)

「ある日突然目覚めたこの氷を操る力……きっとお前を打ち負かすために天が与えてくれたのさ!」
「これでお前は身動きが取れない……私の勝ちだな!」

そういって笑っている玲奈を他所に、来夏はある考え事をしていた。

「……お前が能力者なら、こっちもそれ相応の対応をするぜ」
「んー? そんな状態で何をする気だい? ろくに足も動かせないだろう?」
「最初は驚いたけどな。 お前の力が氷なら……」

来夏はそういって身体に力を混めた。

(あの時と同じように……そうすればきっと……)

「全く何も出来ないくせに冷静ぶっちゃ……って……え?」

玲奈は目を疑った。
来夏の足を押さえていた氷がみるみる溶けてしまっていたのだ。

「な……ななななな何してんの!? ていうか、え!? なんで私の氷が!?」
「ていうかお前足から火が……」
「……勝ち誇ってたとこ悪いが、天は俺にも力をくれてたんだよ」
「そ、そんな……!?」

来夏は一歩ずつ玲奈に近づく。

「さて、試合続行だな」
「ちょ、ちょっとまって! 頭の整理が追いつかないって! 一旦落ち着こう!?」
「ほ、ほら、こんな力なんて使わずに最初っからもう一回やり直して……」
「……最初に仕掛けたお前が、言うなぁー!!」

剣道場に、面ッ!っという声と共に大きな音が響き渡った。


「それにしても、まさか能力者に決闘申し込まれるとはな……」

玲奈は来夏に面を打たれた後泣きながら、覚えてろぉぉぉ!!と叫びそそくさと逃げてしまった。

家に帰る途中、来夏は自身の能力について考えていた。

「火……か。 どういう原理か知らないが、実感沸かねぇなー」
「火出してる時は別に熱いわけじゃないし、変な感じだ」
「でも今回のことで感覚は掴めたな」

「……そういえば今回は服、燃えなかったな」

来夏は自分の服を見る。
そこには焦げた跡一つなく、綺麗なままだった。

「この服……防火服にでもなってんのか?」
「親父のやつ、もしかして俺の能力の事を……」

来夏は色々考えを巡らせていたが本人に聞いた方が早いと判断し、ついでに早く風呂に入るために急いで帰宅した。


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