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「星の降る夜に」 第九話
2015-04-05 Sun 22:26
~第九話~
【怯えた心<前編>】

現在時刻 【20XX/04/18(火)08:00】


『今朝未明、有幻商店街で10代の女の子の遺体が発見されました』
『女の子は刃物のようなもので腹部を刺されており』
『犯人はいまだに捕まっていないということで……~』

「あらやだ……物騒ねぇ」

「ばあさんも結祐も何かあったらわしに言うんだぞ。 直ぐに助けてやるからな」

「分かってるよ」

結祐はテーブルに出されたばかりの出来立てのパンをかじりながらそう答えた。

「それじゃ、行ってきます」

「いってらっしゃい結祐」

結祐が外へ出た後、老夫婦はため息をつく。

「私達じゃ、何もしてあげられないのでしょうか……」

「仕方ないさ。 目の前で母親が事故にあったんだ」
「あいつの心が落ち着くまで、見守るしかない」

「でも私は、あの子にはもっと笑っててもらいたいです……」

「わしだってそうさ。 元々無愛想なやつだが、今のあいつは見ててこっちが苦しくなる」
「何か、あいつの元気を取り戻す方法があればいいんだが……」

老夫婦はそんな会話をしながら、学校へと向かう結祐を窓から見送っていた。



「では、何も質問がなければ本日はここまでとします」
「起立、礼!」

「「さようならー!」」

今日の全ての授業が終わり、クラスの大半が他の生徒と話し合ったり部活動に向かう中、
結祐は直ぐに帰り支度をすませ、教室を出た。

学校の校門を抜けた結祐は、家に帰る道とは逆方向に向かった。
その先には町で一番大きい総合病院が見える。

病院に入り面会の手続きを済ませた結祐は、3階の隅にある部屋に入る。
そこには一人の女性が横たわっていた。

「母さん……」

結祐に母と呼ばれた女性は、目を覚ますこともなく静かに呼吸を続けている。

「母さん……ごめん、ごめんなさい……」

夕暮れ時の病室に、ひとすじの涙が落ちる。



「うーん、少し遅くなっちゃったなー」

今日も無事に一日を終え、少し疲れたといった表情の桜衣がとぼとぼといつもの帰り道を歩いていた。

「あ、そうだ! 携帯のバッテリーを買いに行くんだった!」
「忘れちゃうところだった……急いで買いにいかなくちゃ!」

桜衣がデパートに向かう途中、病院の前を通ると中から結祐が現れた。

「あれ? 結祐君?」

「あ、桜衣……!?」

桜衣を見た結祐は凄く驚き、戸惑いを見せた。

「結祐君…病気なの?」

「いや、そうじゃなくて……」

結祐は少し息を詰まらせながらも、口を開いた。

「……実は、母さんが入院中でさ……そのお見舞いに行ってたんだ」

「え、結祐君のお母さんが?」

「そう……桜衣こそどうしたんだ? 家はこっちじゃないだろ?」

「えっと、私の携帯のバッテリーが古くなっちゃったから、新しいのを買いにデパートに……」
「でも、どれが私の携帯のバッテリーか分からなくて……」
「そうだ! もしよかったら結祐君、一緒に買うの手伝ってくれる?」

「ん、ああ別にいいけど」

「それじゃ、行こっか!」

桜衣と結祐は、近くにある町一番の大きなデパートに向かった。



平日なこともあり、デパートの中はそこそこ空いていたので桜衣達は目的の場所にすぐに辿り着けた。

「うーん、同じようなのがいっぱい……」

「お前、俺に会わなかったらどう選ぶつもりだったんだ……?」

「それは、その……店員さんに聞こうと……えへへ」

「頭がいいのはすげぇけど、機械とかは案外だめなんだな」

「うぅ……手厳しいね……」

「まあいいや、桜衣の携帯なら……っとこれだな」

結祐は手に取ったバッテリーを桜衣に渡した。

「ありがと! やっぱり結祐君は頼りになるね!」

「……とりあえず買ってこいよ。 俺はトイレに行ってくるから」

「うん!」

桜衣がレジに向かうのを確認した後、結祐はトイレへと向かう。


トイレの洗面台で結祐はため息をついていた。

「頼りになる、か……そんなこと、あるわけない」
「俺は、母さんを……」

結祐がトイレから出ようとすると、外が妙に騒がしいことに気づいた。

「……なんだ、随分うるさいな」

結祐がトイレから出てくると、そこには……


「お前ら全員その場から動くな! さもないとこの娘を殺すぞ!」

「……は?」

大柄の男がナイフを片手にレジの近くで叫んでいた。

「な、なんで……」

「結…祐君……!」

そこには男に拘束されている桜衣の姿があった。


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